蜃気楼の本・書籍

気象、科学、文明関連

最近発行された天気や気象に関する書籍を見ても、蜃気楼が取り上げられているものは、富山県魚津市の『蜃気楼』 や北海道オホーツクの『幻氷』、琵琶湖周辺の『蜃気楼』写真を使っているものがほとんどのようです。 今後、石狩湾で起こる小樽市近郊の『高島おばけ』もそうなるように期待しましょう。

参考までに、『蜃気楼』について記載されている本は、その多くが(百科)事典や気象・天気、極地関連書籍等ですが、 最近のものでは、

  • 『日本列島 驚異の自然現象』(武田康男監修 昭文社 2007) ---写真有
  • 『南極大図鑑』(国立極地研究所監修 小学館 2006)---写真有
  • 『天気の100不思議』(松村照男 東京書籍 2005)
  • 『お天気歳時記』(田代大輔 日本放送出版協会 2005)---写真有
  • 『楽しい気象観察図鑑』(武田康男 草思社 2005)---写真有


  • 『お天気なんでも小事典』(三浦郁夫、川﨑宣昭 2005)
  • 『南極の空』(南極の空編集委員会 クライム 2004)---写真有、多数
  • 『空の写真図鑑』(田中達也 学研 2004)
  • 『南極大紀行』(NHK「南極」プロジェクト 2003) ---写真有
  • 『北極と南極の100不思議』(神沼克伊、麻生武彦他 東京書籍 2003)


  • 『雑学読本 NHK天気質問箱』(平井信行 日本放送出版協会 2001)
  • 『ワクワク実験 気象学』(高田康哉&坪井幸政訳 丸善 2000)
  • 『富山湾の神秘・海の幻 蜃気楼写真集』(魚津蜃気楼研究会 2000)
  • 『蜃気楼の楽園』(ヘルムート・トリブッチ 工作舎 2000)---写真有
  • 『気象歳時記』(平沼洋司 蝸牛社 1999)


  • 『気象のしくみ』(オリンポス ナツメ社 1998)
  • 『季節みちくさ事典』(倉嶋厚 東京堂出版 1995)
  • 『気になる天気の話146』(水沢周・藤井幸雄 講談社 1994)
  • 『日和見の事典』(倉嶋厚 東京堂出版 1994)
  • 『お天気生活事典』(平沼洋司 朝日新聞社 1994)


  • 『蜃気楼文明』(ヘルムート・トリブッチ 工作舎 1989)---写真有
  • 『蜃気楼のはなし』(魚津埋没林博物館 1995---写真有
  • 『蜃気楼はどうして起きるのか』 (A.B.フレーザー、小口高 訳 日経サイエンス 1984)---写真有

 
などが図書館等でも目にすることができるので参考になるでしょう。

特に、気象関連ではないヘルムート・トリブッチ氏の書籍は、神話や伝説、あるいは古代遺跡の謎と蜃気楼を少々強引 に結びつけている感はぬぐえないが、世界各地の蜃気楼写真(モノクロ)や絵図を多数紹介している参考になる書籍であり、十分楽しめるものです。

また、俳句などの季語に『蜃気楼』(=海市、蜃市、蜃楼、喜見城、貝櫓[かいやぐら]、なごのわたり、蓬莱島、 狐棚[きつねだな])という言葉が使われていることから、上記の『天気歳時記』や季語辞書類、新聞の文芸欄には、 俳句や短歌で『蜃気楼』という言葉を目にする機会もあります。

私が調べただけでも山口誓子、三橋敏雄、大石悦子、 鈴木花簔、百合山羽公、上野たかし、長沼紫紅、能村研三、廣瀬ひろし、八木三日女、穴井太、松澤昭、須藤徹、大坪重治などの作品が、短歌では、与謝野晶子、関口昌男などの作品がありました。

さて、Dr.コトー診療所2006というテレビ番組で蜃気楼の言葉を使った句碑がでてきます。鹿児島県甑(こしき)島の医師、平田清さんの句で、


『往診の 道すがら見し しんきろう』 というものです。

距離から考えると、蜃気楼化された対象は、約130~150Km離れた男女群島か五島列島である可能性が高いでしょう。ちなみに、番組のモデルとなった甑島の医師は瀬戸上さんという方で、現地の撮影の多くは、台湾にほど近い沖縄の与那国島だったそうです。

それでは、私も一句、 『目を凝らし かすみの先に しんきろう』 どうも文学的ではないねぇ。

それから、詩集では、芒順子の『しんきろう』(木犀出版)がありますが、内容を見ると、著者が実際に上位蜃気楼を見て作ったものではないようです。

外国文献

  • "Out of the Blue: A 24-hours Skywatcher's Guides" (John Naylor 2004) Combridge University Press
  • "Color and Light in Nature" (David K.Lynch, Willian Livingstone 2001) Combridge University Press
  • "Light and Color in the Outdoors" (Marcel Minnaert, Len Seymour 1993) Springer

小説、随筆、伝奇関連

それから、図書館や書店で手軽に入手できる蜃気楼という名のつく小説や蜃気楼を題材にしている書籍等も、ついでにご紹介しておきましょう。

  • 『蜃気楼』(芥川龍之介)小学館---藤沢市鵠沼(くげぬま)の蜃気楼
  • 『蜃気楼島の情熱』(横溝正史)講談社---沖合いの小島のたとえ
  • 『続々北海道絵本』(更科源蔵)さろるん書房---オホーツクの蜃気楼
  • 『蜃気楼』(吉行淳之介)講談社---題名として使用
  • 『青い蜃気楼』(黒木亮)角川文庫---インドの高層アパート群のたとえ

 

  • 『ヴァン・ゴッホの蜃気楼』(おおば比呂志)講談社---比喩として使用
  • 『蜃気楼』(生島遼一)岩波書店---芥川の同名作品が好きで名をつけた
  • 『わたしは燃えたつ蜃気楼』(吉増剛造)小沢書店---著名人の詩の引用
  • 『蜃気楼』(西村望)立風書房---幻想という意味合いで書名に利用
  • 『蜃気楼』(西部邁)中央公論社---蜃気楼風の想念として使っている

 

  • 『蜃気楼』(秋山ちえ子)潮出版社---アラスカで見た蜃気楼を比ゆで使用
  • 『蜃気楼』(和泉克雄)鱗片舎---まぼろしという意味でコメントに使用
  • 『蜃気楼の殺人』(折原一)講談社文庫---富山湾の蜃気楼
  • 『黄色い蜃気楼』(船戸与一)双葉文庫---カラハリ砂漠の蜃気楼
  • 『蜃気楼』(内田康夫)新潮文庫---富山湾魚津の蜃気楼 
  • 『蜃気楼を追う男』(藤田宣永)光文社文庫---チュニスの蜃気楼(夢)
  • 『海市』(福永武彦)新潮社---南伊豆の蜃気楼
  • 『燃える蜃気楼』(逢坂剛)講談社---文中にはなく書名として使用
  • 『冬の蜃気楼』(山田太一)新潮社---書名として使用
  • 『ペルー蜃気楼紀行』(立松和平)サンドケー出版局---太陽の蜃気楼

 

  • 『蜃気楼の旅人』(栗本薫)早川書房---架空上の砂漠の蜃気楼
  • 『まほろ市の殺人 冬 蜃気楼に手を振る』(有栖川有栖)祥伝社文庫
  • 『ペギースー ⅱ蜃気楼の国へ飛ぶ』(セルジュ・ブリュソロ)角川文庫
  • 『蜃気楼(ミラージュ)』(下重暁子)近代文芸社---砂漠の蜃気楼
  • 『契丹(きんたん)伝奇集』(中野美代子)河出書房新社---網走の蜃気楼など

 

  • 『蜃気楼の帯』(戸川昌子)読売新聞社刊---ナイロビ近郊の蜃気楼


などが入手しやすい本かと思います。尚、書店の検索マシンで調べると100冊以上が ヒットします。興味のある方は一読するのも楽しいでしょう。

 

子供・児童向け

  • 『ウオズのしんきろう』 (浜口駿介 けやき書房 1995)---イラスト有、魚津の蜃気楼、説明豊富
  • 『NHKやってみよう なんでも実験』(理論社 1999)---写真有
  • 『おばけは本当にいるの? 未知へのとびら』 (岡島康治 PHP研究所 1999)---写真有
  • 『新版 たのしいお天気学 春のお天気』 (根元順吉 小峰書店 1996)


さて、かなり古いものでは、昭和4年、菊池寛が、芥川龍之介の助けを得て編集した『小学生全集 初級用 第29巻 日本一周旅行』(小学生全集編集部編 文藝春秋社)というものがあります。


これには、富山の蜃気楼に関する文章と絵が描かれています。蜃気楼像は、海の上にビル群が描きだされているようです。ご興味のある方は、図書館等で見るとよいでしょう。古本屋でも3000円程度で入手できるようです。

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