時期と天候
見つける条件(時期と天候)
ベストシーズンは、春から初夏にかけてです。カタクリや桜が咲き、 オオルリの鳴き声が聞こえ始め、ツツジが見られる頃までに発生しやすい。 おだやかに晴れて、暖かく風が弱いときです。
時期
4月から7月初旬(特に5月初~6月中旬)が発生率が高い。 ただし、条件が整えば季節に関係なく発生します。小樽では小中学生が夏休み中の7月31日(2018年)、晩夏の8月4日(2004年)、秋の9月1日(2005年)にも上位蜃気楼が発生しています。また、冬でも上位蜃気楼が発生する事例があります。特に、山の蜃気楼が多いようです。
時間帯
経験則となりますが、時間帯としては午後の方が発生しやすい。
・個人的には、午後3~5時の時間帯がベストと推測している
・海風・陸風が切り替わる夕凪前後(午後5時前後)の時間帯は大きなものが発生しやすい
ちなみに、小樽周辺では午前・昼前後までは太陽光の関係から対象物が見やすく写真写りがいい模様。
天候
晴れた日で、風や波は弱い方がよい。そのほうが発生時間が長い傾向です。以下のグラフを参照。
これは『風の強さ』と『発生時間(幅)』をグラフ化したもの。風の強さは、小樽・手稲山口の一日の平均風速、発生時間は、目視と画像で確認した時間(幅)をプロット。尚、左軸が風速、右軸が時間を表す。
このグラフから、風がより弱く/穏やかな方が、蜃気楼状態が継続しやすい。また、その中で規模が大きい状態は、5~20分程度が多いが、中には数時間続くこともある。
■遠くの山々・地形が適度にかすみやモヤがかかっている方が発生しやすい
■海上に暖かい空気層と思われる陽炎(かげろう)が出てきて、幻の水平線が見え始めると発生しやすい
温度
■表面海水温度と当日の気温との差が8~12℃以上になったら発生しやすい。
☆当日の気温が平年の最高気温より3~4℃以上高い場合
☆当日の最低気温と最高気温の差が10℃以上になる場合
などの条件を組み合わせて判断しよう。小樽側は8℃以上、手稲山口側は10℃以上の差があればベスト
ただし、あまり気温が高くなり過ぎるとモヤや海霧が発生しやすく見えない(=視程が悪い)ことも…。
海水温データは、気象庁の日別海面水温、気温はアメダス(表形式)が便利。毎時の気象データを小樽と手稲(山口)側と比較して判断すれば『高島おばけ』(=上位蜃気楼)が見られる確率もぐっと上がるでしょう。
風向き
小樽側は、弱い北東~東の風が吹いている場合、又は、午後の一時期に南西~西南西の(乾燥した)風に切り替わった時に発生しやすいようです。
対岸の石狩方面や札幌(手稲)方面では南東~東南東方向から西北西~北北西の風に切り替わった時がよい。稀に南~南東に吹いた時に発生することもある。(下図を参照:クリックすると拡大表示)
陸上(沿岸)で上位蜃気楼を発生させる原因となる上暖下冷の空気層は、主に、
■北石狩衛生センター~石狩湾新港の球形タンク群周辺
■高島漁港沖~高島岬(祝津)・トド岩周辺
■石狩湾の海面や船舶
で最初に気づくことが多い。その後、その範囲を拡大・縮小したり、移動したりして最後に消滅する。
波
波は凪(なぎ)のほうがよく、波浪が高くても1.5m以下が望ましい。遠方の海に白波が多く見えるようなら上位蜃気楼は発生しないようです。これは空気の層が安定しなく、かき回されてしまうからです。
暖かい風が吹いている兆候を見つけること。多少慣れが必要だが、海上で波の蜃気楼を見つけるのがポイント。兆候として筋状の線がいくえにも見え始めると発生の可能性が高くなる。(経験則)
その他(湿度・空気層・色の濃淡など)
小樽や札幌のどちらかの相対湿度が低い、あるいは低く変化した時に発生しやすい傾向だったが、最近では、それほどでもなくなった。
ただ、乾燥している方が暖かい空気が上方にたまりやすいので、対象物の高い位置に、蜃気楼が発生しやすいかもしれない。(左表参照)
異なる空気層の境界を探す。 蜃気楼化する対象物の上と下には、やや濃淡の違いがある層のようなものが見られる。こういう空気層を見つけたら、その近くの対象物をチェックしよう。
海(上)の色の濃淡を探す。 蜃気楼化する対象物の手前側の海上では、バームクーヘンのようなしま模様の筋が見えることが多い。
参考) 気温の逆転現象(=蜃気楼が発生しやすい状態)が起こるとラジオ、携帯、無線などの電波障害や異常伝播(≒対流圏ダクト)となるケースがあり、音の伝播(=伝わり)がより近くに聞こえる現象が起こります。これを使って蜃気楼が発生しそうかどうかをチェックする手もあるかもしれない。
どのぐらいの時間観測すればよいか
30分ぐらいは観察しょう。散歩のついでやランニング、釣りの合間、公園・海岸での沐浴や日光浴の最中でもよい。
ただ、最初に狙っている対象物とその周辺の位置と形は真剣に、しっかり頭に入れておいてください。間違いさがしを見つける要領が大事です。
しかし、可能なら1時間は観察したほうがよい。気象変化、特に『風の変化』により上位蜃気楼(=高島おばけ)の発生環境が整います。そうすると
見られる確率が格段に上がります。
それから、荷物になっても小さなオペラグラスや双眼鏡を持参するのがよい。これがあると微妙な変化も確認できます。
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